OLD(オールド)の要約

シックス・センス」「スプリット」で知られるM・ナイト・シャマラン監督の最新作、新感覚スリラー映画です。

複数の家族がバカンスを楽しむために、美しいビーチを訪れるのですが、そこは1日で50年に相当するスピードで体が老いてしまうという不思議な場所でした。

そしてそこから脱しようと思っても、ある範囲を超えると気絶してしまうという謎の現象があり逃げることもできず…。

老い、時間、死。避けられない恐怖を前に人間がどう向き合い戦うのか。決して人ごととは思えない主人公たちに感情移入してしまう作品です。

 

物語は離婚寸前のキャパ夫婦が最後の思い出にと、2人の幼い子供たちを連れてあるリゾートホテルにやってくるところから始まります。

ウェルカムドリンクを飲んですっかりリゾート気分。子供たちも大はしゃぎ。長男のトレントはホテルの支配人の甥であるイドリブとお友達になり手紙交換をして遊んでいました。

翌日、ホテルのレストランで食事をしていると支配人から「特別なビーチへご招待します」と誘われ、キャパ家族はそのビーチへ行くことにします。

キャパ家族の他にも複数の家族がそのビーチに招待されているようで、素敵なビーチで各々楽しみます。が、だんだん異変に気付きます。

 

さっきまで小さな子供だった娘マドックスと息子トレントが、ハイティーンまで成長していたのです。程なくして、ビーチにいる全員が急速に年老いていることに気付きます。

「どうなっているんだこのビーチは!」と脱出を試みますが、あと一歩のところで気絶してしまい脱出不可能。

楽しいバカンスのはずが、突如老いと死の恐怖に苛まれます。

 

複数の家族たちが知恵を出し合ってこの危機を脱しようとしますが、精神的に壊れる者、利己的になる者、疑心暗鬼になる者が現れます。

結局、人間同士の争いで決められた人生の時間よりも早くに死んでいきます。

ついに、ビーチで生き残ったのはキャパ家族のみになりました。

夜になるとキャパ夫婦はすでに老眼の進んだお爺さんと、片耳が聞こえなくなっているお婆さんになっていました。

2人の子どもも40歳近くまで成長しています。

 

キャパ夫婦はほとんど同じタイミングで老衰で亡くなります。

両親を看取った子どもたちは翌朝には60歳近くになっていました。

最後、ふとトレントが昨日ビーチに行く前にイドリブから手紙を預かっていたことを思い出します。その手紙には「おじさんは珊瑚礁が嫌い」と書かれていました。

 

珊瑚礁がこのビーチから脱することのできるヒントかも」と思いつき、2人で沖にある珊瑚礁のトンネルを見つけてそこから無事に脱出します。

 

ここで、このビーチをずっと監視していた男が「全員死亡した」と認識し、ある研究所に向かいます。この研究所はある製薬会社が治験薬を開発している場所でした。

なんとビーチの家族たちは全員治験者だったのです。それぞれの家族には持病がありました。腫瘍、てんかん精神疾患血友病など。持病がある者たちがこのビーチに誘われ治験者となっていたのです。治験薬はなんと最初に提供されたウェルカムドリンク。

治験は最初から始まっていたのです。通常時間のかかる治験ですが、このビーチを利用して1日で治験結果を検証しよう、というのがこの製薬会社の思惑でした。

 

科学者たちは治験者の命に対して、短い黙祷は捧げますが、「多数を救うための尊い犠牲」であると考えていました。

そしてまた新しい治験者がやってきて、いつも通りウェルカムドリンクを飲まそうとした時に、無事にビーチから脱出したトレントとマドックスがそれを遮ります。

警察にこの事実を通報し、ヘリコプターで叔母の待つ家に帰って行くのですがすでにその叔母よりも年上になってしまっている2人は、失われた何十年と両親のことを思って悲しい気持ちになっているところで物語が終わります。

 

老いていくところは、人ごととは思えないです。

そしてスピードは違えど、私たちも確実に着実に毎日老いていっていることを痛切に感じさせる作品でした。